posted by yomoyomo
旧聞に属する話ですが、7月末に米著作権局よりデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act、以下DMCA)の新たな適用除外項目が明らかにされました。見直し内容については TechCrunch の記事が分かりやすいのでそのまま引用させてもらいます。
1. 教育上の目的ないし批評のために必要な公正な利用とみなされる範囲で複製を行うため、合法的に所有するDVDの暗号化を無効化すること。
2. ユーザーが合法的に所有するソフトウェアを携帯電話上で実行させることができない場合、そのソフトウェアが実行できるように携帯電話の機能を変更するプログラムを実行すること。(つまりiPhoneを脱獄(Jailbreaking)させてGoogle Voiceを走らせるなど)
3. 携帯電話を予め設定されたネットワークとは別のネットワークに接続させることを可能にするようなプログラムを実行すること。(つまりiPhoneを脱獄させてAT&TではなくT-Mobileに接続させるなど)
4. セキュリティーに関する合理的な試験ないし調査のためにビデオゲームの暗号化 (DRM)を無効にすること。
5. ハードウェア・ドングルによって保護されているソフトウェアについて、そのドングルが製造中止になるなど老朽化した場合に、当該のソフトウェアにドングルの機能を無効にするような改変を加えること。
6. 電子書籍に機械による読み上げを妨げる機能が組み込まれている場合に、その機能を無効化して内容を読み上げること。
DMCAは元々、著作権保持者であるコンテンツ産業の意向が色濃く反映されたもので、著作権保護技術を回避、無効化する手段の公表を禁じるなど著作権法を強化するものであっただけに、適用除外条項の見直し自体はおよそ3年に一度行われていることとはいえ、今回の発表は驚きをもって迎えられました。
DRMは実質的に無効化へ
今回の見直しで最も影響が大きいのは、JailbreakとSIMロック解除の合法化に直面する携帯電話業界、具体的にはアップル製品になります。
電子書籍の分野で直接的に影響があるのは6番目の項目だけで、Jailbreak合法化のようなインパクトに欠けますが、今回の見直しから見える方向性について考えてみます。
まず、今回適用除外条項の対象となった電子書籍のテキスト読み上げ機能ですが、これについては昨年、アマゾンが米作家協会(Authors Guild)からの非難を受け、Kindle 2に新規に追加されたテキスト読み上げ機能を書籍ごとに有効にするかどうか決められるよう譲歩したことが記憶に新しいです。
今回の見直しにより、Kindle 2をハックして、無効にされたテキスト読み上げ機能を復活させることが可能になりましたし、これはテキスト読み上げ機能は著作権法に反しないというアマゾンの主張を後押しするものです。
また個人的には、今回の適用除外項目に研究用や調査目的でDVDやビデオゲームの暗号化を解除すること、つまりDRM(デジタル著作権管理)の無効化を許容する内容が入っていることも重要だと思います。
これは大げさな話ではなく、例えば音楽の世界では、データを再生することしか許さないDRMが、この分野の研究者にとって障害となることが以前から言われています。デジタル化の面で音楽業界とのアナロジーで語られることが多い電子書籍分野で同種の事態が起こるのは避けたいところです。
以前「マガジン航」に寄稿した「電子書籍にDRMは本当に有効か?」において、筆者は以下のように書きました。
DRMの最大の問題は、それがユーザーの利便性、コンテンツの正当な利用さえも損なうことです。特定の動作環境への依存を強いられ、その技術の恒久的な利用が保証されない問題もあります。
ただ利用者にとっての利便性、コンテンツの正当な利用を損なうのは、実はDRMだけではありません。ここからは今回のDMCA見直しの話から離れ、妄想の領域に入ることをお断りした上で話を進めさせてもらいます。