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〈ミニコミ2.0〉とはなにか?

2010年1月25日 月曜日

posted by 武田俊(KAI-YOU代表)

はじめまして。KAI-YOUという、ミニコミ誌の制作やイベントの企画を行っている組織の代表をしております、武田俊と申します。今回は、以前の仲俣暁生さんの記事「リトルマガジンのゆくえ」に対して、その作り手の立場から何か答えるというような形式で書かせて頂こうと思っています。

といっても具体的には何をやっている人間なのか、という疑問を持たれることと思いますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。

これまでのKAI-YOUの主だった活動としては、「世界と遊ぶ文芸誌」といういささか大仰なキーワードのもとに動いているミニコミ文芸誌『界遊』の制作と、それに関係するイベントの企画・運営が挙げられます。そして昨年の11月からは、〈ミニコミ2.0〉というタイトルを掲げていくつかの企画を行ってきました。

あえて「ミニコミ」と口にしてみる

〈ミニコミ2.0〉企画は、奇しくも昨年休刊となってしまった『STUDIO VOICE』のウェブサイトである「STUDIO VOICE ONLINE」内のコンテンツから始まり、ジュンク堂書店新宿店に企画を持ち込み行ったフェア、フェア担当の書店員・阪根正行さんとの対談記事、そして批評家/編集者である宇野常寛さんと、ライター/編集者の速水健朗さんによるトークイベント、といったようにウェブとリアルを往復するような形で展開させていきました。

ジュンク堂書店新宿店で行われた、〈ミニコミ2.0〉フェアの展示風景。

ジュンク堂書店新宿店で行われた、〈ミニコミ2.0〉フェアの展示風景。

ここでポイントとなるのは、いまなぜミニコミ誌なのか、ということです。もちろんミニコミ誌というメディアは今に始まったものではありません。ビートニクと呼ばれてきたような詩人や作家たちが自らの本を手作りで世に届けたものもそうですし、ファンジンや同人誌といったようなものも当てはまります。一言でまとめてしまえば、マスコミュニケーションという大きな存在に対して、カウンターとして振る舞い存在するインディーズメディアと呼ぶことができます。ミニコミュニケーション、という略される以前の言葉自体を考えればもっともな話です。

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「コルシカ」騒動の教訓

2009年12月22日 火曜日

posted by 谷分章優

書籍や雑誌の電子化を考える上で、2009年は忘れられない年になるだろう。
たとえばGoogleブック検索をめぐる、米国の著作者・出版社の集団訴訟。和解自体が決まったのは2008年10月だが、今年2月に和解内容が「通知」された。それまで“海の向こうで決着した裁判”程度にしか思われていなかったのが、日本の著作者・出版社も和解当事者だと判明し、ご存知の通りの騒ぎとなった。

米アマゾンの電子書籍リーダー、キンドル(Kindle)が日本でも入手可能になったのも今年だ(……と言っても、米アマゾンへ注文できるようになっただけだが)。日本の出版社が参加しての「日本版」ではないため、キンドル用に日本語の電子書籍を買えるわけではない。ただしキンドルがPDFを表示できるようになったため、『青空文庫』に所蔵された著作権切れ作品をPDF化して、日本語の本を読むのは可能になった。

日本でも、携帯電話向け電子書籍の配信やPC向け雑誌配信Fujisan.co.jpなど、さまざまな取り組みが進んではいる。また、本命ともいえる日本雑誌協会(雑協)の電子雑誌配信の実証実験が来年1月から始まる。今年はこの実証実験の準備に充てられた年と位置づけられるだろう。

そんな賑やかな2009年に、疾風のごとく登場して注目を集めたサービスがあった。10月7日スタートの、エニグモ社の会員制雑誌通販サービス「コルシカ」である。前置きが長くなって恐縮だが、今回の話題はこれだ。

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講談社のノンフィクション誌『G2』がiPhone対応に

2009年12月21日 月曜日

昨年休刊した『月刊現代』の後継媒体として講談社が今年9月に創刊した『G2』は、「雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディア」をめざしている。これまでも記事の一部をウェブで無料公開してきたが、12月発売の『G2』2号ではiPhone向けに記事ごとの有料販売をはじめた。

『G2』の記事をiPhoneで読むためには、ボイジャーの電子書店『理想書店』への会員登録(無料)と同社のiPhone用アプリ、「理想BookViewer」(version 1.2.3以上)が必要だ。iPhoneのウェブブラウザで理想書店にログインし、読みたいコンテンツを購入・ダウンロードすると、「理想BookViewer」側でコンテンツを表示することが可能になる。

iPhone版として用意されているのは、西岡研介「ドキュメント吉本興業買収」、上杉隆「裏切りの総理官邸」、魚住昭「思考解剖・小沢一郎」など『G2』2号掲載の11本の記事。価格は記事1本ごとに230円で、購入した記事はiPhoneだけでなくPC側でも閲読できる。

『G2』記事コンテンツの一覧。無料のお試し版も。

iPhone側で見た『G2』コンテンツ一覧。無料のお試し版も。

講談社の雑誌では『G2』のほか、『クーリエ・ジャポン』もiPhoneで配信している。こちらはオリジナルのレイアウトを表示できる専用のiPhoneアプリとして配信されている。

講談社は同社のウェブポータルサイト「MouRa」を今年6月に完全リニューアルしたばかりで、電子出版の主戦場をウェブベースでの有料コンテンツ配信から、携帯電話やiPhoneでのコンテンツ提供にシフトしつつある。『クーリエ・ジャポン』に続き『G2』の参入で、その流れはさらに加速しそうだ。

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雑誌の電子配信に向けたプロジェクト

2009年11月13日 金曜日

posted by 仲俣暁生

『ニューズウィーク日本版』の紙版とiPhone配信版。特集は「本と雑誌と新聞の未来」。

『ニューズウィーク日本版』の紙版とiPhone配信版。特集は「本と雑誌と新聞の未来」。

紙の雑誌の休刊が相次ぐなか、エニグモの雑誌コンテンツ配信サービス「コルシカ」がサービス提供開始早々、中止に追い込まれた話題は記憶に新しいところですが、雑誌のコンテンツを電子配信するための制度設計を研究・実験するプロジェクトがいくつも立ち上がっています。

大手出版社をはじめ、広告代理店、IT企業、電機メーカーらが参加する雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアムは、来年1月に予定している電子雑誌の実証実験の詳細を発表しました(Internet Watchの記事を参照)。実証実験に参加するのは出版社50社・100誌以上、モニター参加の希望者も定員をすでに超えたと報じられており、雑誌の電子配信に対する、出版社・読者双方の関心の高さが感じられます。

他方、「放送と出版の融合」を旗印に、デジタル放送を活用した新聞、雑誌等の紙メディアの完全デジタル配信の実現を目的とするAll Media In One(AMIO)フォーラムもこの9月に設立されています。AMIOの発起人代表は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授。

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リトルマガジンのゆくえ

2009年11月5日 木曜日

posted by 仲俣暁生

論創社のウェブサイトで連載されている、小田光雄氏の「出版状況クロニクル」が更新されていたのでさっそく読んでみました。小田氏は『出版社と書店はいかにして消えていくか』をはじめとする著作で、早くから日本の出版流通が抱える構造的な問題を指摘してこられた、在野の出版研究者です。

「出版状況クロニクル」は、2001年から07年にかけて出版界に起きた大きな出来事を逐次的にまとめた著作『出版業界の危機と社会構造』のあとを受け、日々報じられる出版関連のニュースや統計データを分析するなかから、出版業界が直面している危機の本質をネット上で随時報告するという貴重なレポートで、本や出版の問題に関心をもつ人は必読です。

10月の話題をまとめた最新回では、ビジネス誌やニュース誌が伝える新聞・出版業界の苦境や、成長を続けるグーグルの話題などにまじって、二つのリトルマガジンにまつわる記述が目につきました。ひとつは古書専門誌『彷書月刊』が、来年10月をもって休刊するという知らせ。1985年に創刊された同誌は2010年10月号で300号を迎えるそうで、これを区切りとして刊行を止めるというのです。

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