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東京国際ブックフェア2010 講演レポート

2010年7月19日 月曜日

posted by 仲俣暁生

7月8日~11日にかけて行われた東京国際ブックフェア2010において、ボイジャーが行った各種講演の映像が随時公開されています。また会期中に東京国際ブックフェア2010会場で配布したパンフレット、「そして船は行く」も下記リンクからダウンロードできます。

http://www.voyager.co.jp/sokuho/index.html

「マガジン航」でもご紹介したInternet Archiveのピーター・ブラントリー氏による講演「“OPDS–Open Publication Distribution System”について」にくわえ、ボイジャー代表取締役の萩野正昭氏による「越えるべきものは何なのか?」、ボイジャー開発担当執行役員の小池利明氏による「ePUBと日本語表示について」の映像がすでに公開されており、残りの講演も追って公開される予定です。

萩野氏と小池氏の講演のさわりを、「マガジン航」からも視聴できるようにしました。続きはぜひ、上記のリンクからご覧ください。また萩野氏の講演中で言及されている無料の電子書籍、津野海太郎『小さなメディアの必要』浜野保樹『極端に短いインターネットの歴史』は、それぞれ理想書店からダウンロードできます。


▲萩野正昭「越えるべきものは何なのか?」


▲小池利明「ePUBと日本語表示について」

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あなたの好きな図書館はどこですか

2010年4月30日 金曜日

posted by 岡本真(ACADEMIC RESOURCE GUIDE編集長)

この「マガジン航」の読者の方であれば、「『電子図書館』は出版業界と共存できるか」(IT Media News 4月23日掲載)という熱い見出しの記事をすでに読んだかもしれません。国立国会図書館が進める大規模デジタル化構想に対して、日本の出版業界からの否定的な反応が見られるようになってきました。

議論が巻き起こること自体は、もちろん歓迎すべきことです。ただ、やはり様々な懸念も抱きます。その様々な懸念の中でも、上で紹介したような記事を読むと、たとえば1990年代に出版業界から巻き起こった「図書館=無料貸本屋」という議論を思い出します。

このときに起きた議論については、田村俊作、小川俊彦編『公共図書館の論点整理』(勁草書房、2008年、2520円)に収められている安井一徳著「『無料貸本屋』論」によくまとまっていますが、あえてまとめれば、図書館による貸出が出版業界の売上の阻害要因になっているのではないか? という論争であったように思います。

実はこの論争が始まった頃、私は出版業界に身を置き、編集者をしていました。大学を出たばかりの駆け出し小僧の時期であったことを割り引いても、図書館を敵視するこの議論には、ついて行けなかったことを思い出します。この論争だけが原因ではありませんが、私はその後、出版産業を去り、当時勃興しつつあったIT業界に身を投じ、いまに至っています。

あえて身の上話を持ち出したのは、他の誰かを敵視し、内部の矛盾を見ずに仮想敵を設けるようなやり方は、やはり不毛だと思うからです。いま再び巻き起こりそうな図書館は出版産業の敵であるかのようなものの見方は、10年前の私のように出版産業に愛想を尽かす人間を、特に若い世代に増やすだけではないでしょうか?

曇りなき眼で図書館を見定めよう

もちろん、出版を語る上で図書館が視野に入っていることは大切です。逆に図書館を語る上で、出版は欠かせない要件の一つです。では、不毛な議論に陥ることなく、建設的な方向で出版と図書館を関連づけて考えていくには、どのような途があるのでしょうか。一つ、提案をしてみます。映画「もののけ姫」の一方の主人公であるアシタカのように、「曇りなき眼」で図書館を見定めてみませんか?

「図書館」という言葉は、日本語としては極めて一般的な用語であって、言葉としての認知度は100%に迫るものでしょう。そして、あまり意識されていないことですが、「図書館を過去に使ったことがある」という利用経験率も決して低くありません。特に1990年代までに、諸々の課題はあるものの学校図書館の整備が進んだことによって、本人が明確に意識していなくても40代くらいまでの、日本で義務教育を受けた世代は、少なからず図書館を過去に使ったことがあります。

しかし、課題はその先にあります。では、いまも図書館を使っている人はどれくらいいるでしょうか? もちろん、自治体によって差があります。いまだに公共図書館がない自治体もあります。日本図書館協会がまとめている「日本の図書館」の2009年版によれば、公共図書館の設置自治体数は市区立でこそ98.4%にあたる793ですが、町村立では53.1%の528に過ぎません。驚かれる方もいるでしょう。この日本において、町と村の半分にしか公共図書館は存在していないのですから。

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グーグル・プロジェクトは失敗するだろう

2010年3月25日 木曜日

posted by 津野海太郎

昨秋、アマゾンで、まもなくロバート・ダーントンの『The Case for Books』という本がでることを知った。でもこれ、なんと訳したらいいのかね。たぶん「本という事件(事例)」あたりなのだろうが、そこに「本の容器」という意味がかぶさっているのかもしれない。

ダーントンは、18~19世紀フランスの出版業界をフィールドとするアメリカの高名な書物史家で、日本でも『革命前後の地下出版』『歴史の白日夢』『猫の大虐殺』『禁じられたベストセラー』などの翻訳がでている。

ハーヴァード大学図書館の館長でもあり、近年は『ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス』をおもな舞台に、本の電子化にかんする積極的な発言をつづけてきた。おそらくこんどの本も、それらの最近のエッセイをあつめたものなのだろう。

ロバート・ダーントンの新著『The Case for Books』

ロバート・ダーントンの新著『The Case for Books』

私は書物史家としてのかれを信頼している。とくに『猫の大虐殺』が好き。文章もいい。そこで、すぐ予約注文しておいたら、ほどなく現物が届いた。長めの序文がついていて、それがたいへん興味ぶかい。

しばらくイギリスにいたダーントンが、ハーヴァードに新しい図書館長として呼び戻されたのが2007年の夏。そのときはすでにグーグル・ブックサーチに向けた図書館蔵書電子化の秘密交渉がはじまっていたという。いやもおうもない。たちまちその渦中にまきこまれたダーントンは、交渉の過程で、グーグルの関心が電子化データの独占とそのビジネス利用にしかないということに気づく。

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東京古書組合90周年記念シンポジウムを企画して

2010年3月18日 木曜日

posted by 岡本真(ACADEMIC RESOURCE GUIDE編集長)

滅亡か、復権か

「大規模デジタル化時代と本の可能性」と題したシンポジウムが、来る4月14日(水)の午後に開催される。催しのタイトルは、正式には東京都古書籍商業協同組合創立90周年記念 日本の古本屋シンポジウム「滅亡か、復権か-大規模デジタル化時代と本の可能性」というずいぶんと長いものだ。開催場所は古書の町である神田神保町。この催しについて、協賛し実際の企画にあたった立場から、なぜいま古書の業界が、「滅亡か、復権か」というタイトルを掲げたシンポジウムを開催するのか、その狙いを紹介しておきたい。

シンポジウムのウェブサイト

シンポジウムのウェブサイト

古書業界では年に1回、古書業界の全国組織である全国古書籍商組合連合会(全古書連)による大規模な「市」を行っている。組織名を略して全連大市会と呼ぶこの市が、今年は東京で開かれる。2010年は、本シンポジウムの主催者である東京都古書籍商業協同組合(東京古書組合)が設立されて90年目を迎える年だという。書店で組織する日本書店商業組合連合会(日書連)の前身組織が1945年に、出版社で組織する日本書籍出版協会が1957年に、それぞれ結成されていると聞くと、古書という業界が実に息の長い世界であることがよくわかる。

この創立90周年という記念すべき年に、東京古書組合が主催して日本全国の古書業者を集めて大市会を開く以上、市の開催に留まらずに何かを企画したいという意向が、東京で古書業を営む方々の問題意識としてあったという。昨年の9月頃だろうか、人文・社会科学の古書の取り扱いや復刻で知られる文生書院の社長であり、全古書連の理事長でもある小沼良成さんから連絡をいただき、神保町で中華料理をつつきながら、この企画がスタートした。

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ジャパニーズ・ブックダム(仮称)計画案

2010年3月5日 金曜日

posted by 沢辺均(ポット出版)

※この記事はポット出版のウェブサイト「ポットの日誌」(2月22日)に掲載された「日本語の本の全文検索→一部表示サーバーをインターネット上につくる(仮称=ジャパニーズ・ブックダム)」という文章を改題して転載したものです。

日本語の本の全文検索
→一部表示サーバーをインターネット上につくる

何度か「ジャパニーズ・ブックダム」という計画をやりたい、と表明していたので、その具体的なことをできるだけ整理してみました。

「ジャパニーズ・ブックダム計画」は、日本で、日本語(ジャパニーズ)の本(将来は雑誌や電子書籍も)のインターネット上での全文検索を可能にし、検索されたページ=本の一部表示をするサーバー設置を、国立国会図書館と出版社の共同の取組みで実現しようというものです。

国立国会図書館 長尾真館長が、いわゆる「長尾プラン」を発表して、本を生業にしている出版業界、書店、取次、図書館、をはじめネットワークでさまざまな発言している人たちの間でも話題になりました。この構想は、国立国会図書館が、日本全国さまざまな地域に住む人たちに、ひとしく資料へのアクセスを提供するために、書籍を電子化し、利用者からの料金徴収をおこなうというものでした。

今日大きな話題になっている電子書籍の普及は、KindleやiPadを始めとした電子書籍端末と、端末で読むことのできる読み物(=書籍/コンテンツ)の提供という、二つのバランスによって大きく左右されると思います。

KindleやiPadが騒がれていますが、日本ではまだ「実験」や「挑戦」の状態のようです。ただし、この電子書籍は、デジタル/ネットワークがますます拡大し定着している中で、いずれ普及するのは間違いないと思います。そこで、それを活用した新たな出版状況、書籍の世界を豊かにする取組みを、できるところから進めたいと思います。

出版社の積極的な取組みで、本の全文検索→一部表示のデータベースサイト=「ジャパニーズ・ブックダム」の実現をその第一歩としたいと考えました。

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