2009年12月 のアーカイブ

読み物コーナーに新記事を追加

2009年12月29日 火曜日

posted by 仲俣暁生

読み物コーナーに、エド・ベイリーの「プライバシーに関する電子書籍バイヤーズガイド」を追加しました。この記事は電子フロンティア財団のサイトに公開された、エド・ベイリーのAn E-Book Buyer’s Guide to Privacyという記事からの翻訳です。

アマゾンのキンドルをはじめ、アメリカですでに実用化されている五つの電子書籍(電子書籍端末によるものだけでなく、Google Booksのようなサービスも含む)におけるプライバシー・ポリシーを比較したものですが、こうして比較してみると、サービスを提供する企業によって、思いのほか大きな差があることがわかります。

たとえば「読者が何を読んでいるか監視できる?」という項目を比較すると、アマゾンやグーグルは読んだ本のタイトルやページの履歴を記録・読書履歴を「記録」(グーグル)したり、「無線を通して収集する可能性がある」(アマゾン)のに対し、ソニーのReaderでは「機器上のコンテンツに関する情報を記録しない」とされています。

たしかに、これまでのアマゾンやグーグルのビジネスモデルを考えれば、たんに電子書籍のコンテンツを販売するだけでなく、読者の読書行動の履歴を集めることが彼らの電子書籍ビジネスの根幹にあるのではないか、とさえ想像したくなります(実際、アマゾンは「ウィスパーシンク(Wispesync)」という技術によって、読者の閲覧しているページをPCとキンドル端末で同期させています)。

電子書籍の普及がアメリカで急速に進んでいることは先日の記事でも紹介しましたが、デバイスの見た目や使い勝手だけでなく、プライバシー・ポリシーのような部分まで比較しながら、利用するサービスを選択したほうがよさそうです。

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「未来の本」のために必要なこと

2009年12月27日 日曜日

posted by 仲俣暁生

今年のクリスマスの日、アメリカのアマゾン・コムではついに、キンドル用の電子書籍の売り上げが紙の本を上回ったそうです(アマゾンのプレスリリースはこちら)。キンドルに対抗してクリスマス商戦前に売り出されたバーンズアンドノーブルの電子書籍リーダーNookも人気で、品薄が伝えられています。こうした報道を見ると、アメリカではそろそろ電子の本が、紙の本と同様に生活に根づきつつあるのだな、と感じます。

イラストレーション by さべあのま

イラストレーション by さべあ のま

ここに掲載したイラストは、漫画家のさべあ のまさんに、以前、私が編集をしていた『季刊・本とコンピューター』という雑誌の「未来の本のつくり方」という特集のなかで、「2100年の本」というテーマで描いていただいたものです。来年は「2100年」ではなくまだ2010年ですが、このイラストのなかで夢見られている機能のうち、すでにいくつかは実用化されています。しかし、いまだに私たちの目の前に「未来の本」は登場していません。

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「コルシカ」騒動の教訓

2009年12月22日 火曜日

posted by 谷分章優

書籍や雑誌の電子化を考える上で、2009年は忘れられない年になるだろう。
たとえばGoogleブック検索をめぐる、米国の著作者・出版社の集団訴訟。和解自体が決まったのは2008年10月だが、今年2月に和解内容が「通知」された。それまで“海の向こうで決着した裁判”程度にしか思われていなかったのが、日本の著作者・出版社も和解当事者だと判明し、ご存知の通りの騒ぎとなった。

米アマゾンの電子書籍リーダー、キンドル(Kindle)が日本でも入手可能になったのも今年だ(……と言っても、米アマゾンへ注文できるようになっただけだが)。日本の出版社が参加しての「日本版」ではないため、キンドル用に日本語の電子書籍を買えるわけではない。ただしキンドルがPDFを表示できるようになったため、『青空文庫』に所蔵された著作権切れ作品をPDF化して、日本語の本を読むのは可能になった。

日本でも、携帯電話向け電子書籍の配信やPC向け雑誌配信Fujisan.co.jpなど、さまざまな取り組みが進んではいる。また、本命ともいえる日本雑誌協会(雑協)の電子雑誌配信の実証実験が来年1月から始まる。今年はこの実証実験の準備に充てられた年と位置づけられるだろう。

そんな賑やかな2009年に、疾風のごとく登場して注目を集めたサービスがあった。10月7日スタートの、エニグモ社の会員制雑誌通販サービス「コルシカ」である。前置きが長くなって恐縮だが、今回の話題はこれだ。

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講談社のノンフィクション誌『G2』がiPhone対応に

2009年12月21日 月曜日

昨年休刊した『月刊現代』の後継媒体として講談社が今年9月に創刊した『G2』は、「雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディア」をめざしている。これまでも記事の一部をウェブで無料公開してきたが、12月発売の『G2』2号ではiPhone向けに記事ごとの有料販売をはじめた。

『G2』の記事をiPhoneで読むためには、ボイジャーの電子書店『理想書店』への会員登録(無料)と同社のiPhone用アプリ、「理想BookViewer」(version 1.2.3以上)が必要だ。iPhoneのウェブブラウザで理想書店にログインし、読みたいコンテンツを購入・ダウンロードすると、「理想BookViewer」側でコンテンツを表示することが可能になる。

iPhone版として用意されているのは、西岡研介「ドキュメント吉本興業買収」、上杉隆「裏切りの総理官邸」、魚住昭「思考解剖・小沢一郎」など『G2』2号掲載の11本の記事。価格は記事1本ごとに230円で、購入した記事はiPhoneだけでなくPC側でも閲読できる。

『G2』記事コンテンツの一覧。無料のお試し版も。

iPhone側で見た『G2』コンテンツ一覧。無料のお試し版も。

講談社の雑誌では『G2』のほか、『クーリエ・ジャポン』もiPhoneで配信している。こちらはオリジナルのレイアウトを表示できる専用のiPhoneアプリとして配信されている。

講談社は同社のウェブポータルサイト「MouRa」を今年6月に完全リニューアルしたばかりで、電子出版の主戦場をウェブベースでの有料コンテンツ配信から、携帯電話やiPhoneでのコンテンツ提供にシフトしつつある。『クーリエ・ジャポン』に続き『G2』の参入で、その流れはさらに加速しそうだ。

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グーグル「ブック検索」訴訟が投げかけたもの

2009年12月15日 火曜日

posted by 仲俣暁生(「マガジン航」)

今年の夏、東京国際ブックフェアのボイジャー社のブースで弁護士の村瀬拓男さんが行った、グーグル「ブック検索」集団訴訟についての講演映像がボイジャーのサイトで公開されました。村瀬さんは新潮社でCD-ROM版『新潮文庫の100冊』をはじめとする電子書籍を担当されていた、電子出版のエキスパートです。その後、弁護士に転身され、現在は法律家の立場から、著作権をはじめとする問題に積極的にかかわっています。

ブックフェアでの講演当時は、「ブック検索」集団訴訟の和解案が、日本を含む全世界を巻き込むことが明らかになり、出版界が騒然としていた時期でした。その後、11月13日に修正和解案が示され、日本国内で出版された本は集団訴訟の和解から除外される見通しになりました(日本書籍出版協会事務局による修正和解案の訳文 PDF)。しかし、集団訴訟和解からの除外はけっして問題の解決ではありません。たんに訴訟以前の状態への復帰にすぎず、法的和解の手段を失ったことで、むしろ事態をさらに複雑にしたといえます。

村瀬氏の講演では、米国での「ブック検索」集団訴訟の行方に関わらず、今後に日本の出版社が電子出版に取り組む場合に考えなければならない問題の要点が、簡潔にまとめられています。ことに、この講演でも村瀬氏が紹介している国立国会図書館の電子図書館構想は、グーグルの「ブック検索」と同様、重要な問題を提起しています。そういう意味でも、あらためてグーグルの「ブック検索」集団訴訟とはなんだったのかを考えてみることは重要です。

以下に村瀬氏の講演録の冒頭部分を転載します。全文と全映像はボイジャーのサイトでご覧ください。

東京国際ブックフェア2009 村瀬拓男氏 講演録

いくつもの新聞や雑誌などで「Google問題」「Google和解問題」という形で報道がされていたので、今日は業界関係の方々中心ですから、皆さんいろいろなところでいろいろなものを読んで、見ておられると思います。この問題で我々が一体何を考えなければいけないのかとか、一体この問題というのはどういうことなのかといったことを、なるべくわかりやすくお話ししていきたいと思います。

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