2009年の東京国際ブックフェアで配布した、ボイジャーのパンフレット「船は出てゆく」は、下記からダウンロードできます。
2009年7月 のアーカイブ
船は出てゆく
2009年7月13日 月曜日TIBF2009 萩野正昭講演録
2009年7月11日 土曜日17年間ボイジャーがやってきました活動、そして今回の東京国際ブックフェア4日間の一部始終を振り返り、これからのデジタル出版、デジタルパブリッシングというものが本当に船出をしていけるのかどうか、最終日の最後の時間にあたり、皆さんと一緒に考えていきたい。
色々なことがありました。また新しいこともたくさん考えてきております……全てつまびらかにお話ししながら、皆さんと一緒に船に乗り、出て行きたいとおもっています。
最初に、この『デラシネ――わたくしの昭和史』という本をご覧ください。そしてもう一冊、『ひらめきのマジック』という本がここにあります。ご覧のとおり、クラシックな紙の本です。二冊ともボイジャーのドットブック(.book)という電子出版のフォーマットで作られたものです。
オンデマンド・プリントといいまして、必要な量だけ印刷する方式で作られたものです。.bookというボイジャーのフォーマットで作りますと、たった一冊だけ紙の本を印刷する道がつけられています。それで作った本なんです。
著者は大正12年生まれ、今年86歳のおじいさんです。栗山富郎さんといいます。実は映画のプロデューサーでいらっしゃいまして、東映というところでいろいろな名作を作った人です。高倉健の映画を作っている降旗康男という監督のデビュー作品『非行少女ヨーコ』を作りました。緑魔子、谷隼人、そういう俳優の方たちが出たものです。
それから佐藤純彌監督、この間『男たちの大和/YAMATO』を作りましたが……その佐藤純彌監督と『組織暴力』なんていう映画をプロデュースしました。それから、鹿島建設が霞ヶ関ビルを作ったときの映画『超高層のあけぼの』そういう映画も作った、大変有名な映画プロデューサーだったんです。
栗山富郎さんが自分の人生を家族に言い残したいということで、しかし自分は自費出版なんてそういうことはやりたくないんだと、単純に一冊だけ家族に残したいんだということで、私のところに相談に来られたんです。
本は出来上がりました。こういう、三百何ページの本が。本を作るのは難しいことじゃなかったんです。ただ、この人は、実は同時に、段ボール箱二箱くらいいっぱいの写真と資料を持ってこられました。それを見て、本当ならば紙の本の中に写真や資料を挿入して作ってみたいと考えましたけども、それでは有り余る量があったわけです。
この本を見ると帯のところに、www.dotbook.jpのderacineといういわゆるURLです。インターネット上の戸籍番号、これが振ってあります。ボイジャーは本に固有の戸籍番号というのを作って、それに資料をおいて、その資料を、この本を見ながら一緒に連動して見ることができるようにしたわけです。
今後ボイジャーが出版するものには、必ずその固有のURL、戸籍番号を振っていく……それは写真があるとかないとか関係なしに、できあがった本に対して一つの「場」が保証される、本とは未来へ発せられた一つの契機なのだ、そういう風にしていこうとおもったんです。
続きはこちら:http://www.voyager.co.jp/sokuho/img_tibf_report/tibf09_hagino.html
TIBF2009 松井進氏講演録
2009年7月11日 土曜日― イントロ 鎌田純子(ボイジャー) ―
皆様の中には今日初めてバリアフリーの読書ということを考えた方もいらっしゃると思います。
「読書」とは何だろうか。大きくいえば自分の体験していないことを本から体験する、色々な人生を仮に体験して豊かにする、そういったことができることだと思います。またそれは目が見える、見えないとか、例えば足が悪いとか入院しているとか、ということではなくてできること、大事な、私達が生活する上での文化としての権利なんじゃないかと思います。
実は来年は国民読書年といわれています。これは皆が読書するんだということが公の場から発表されているものです。その中にバリアフリー、読書にとってもバリアをなくしていこうという動きがあります。
今日は、盲導犬と一緒に来ていただきました、バリアーフリー資料リソースセンターの副理事長でいらっしゃる松井進さんのほうから、「誰でも読書~電子本の読上げが拓く視覚障害者の読書~」というテーマで、具体的な読上げの方法なども含めてお話をいただきたいと思っております。では、よろしくお願いいたします。
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みなさんこんにちは。松井進と申します。私の下にロミオという盲導犬が、寝転がっておりますが下におります。
今日は電子本を使った読書ということについて、お話をさせていただきたいと思います。目が悪い人と電子本はあまり関係がなさそうとイメージされるのではないかと思うのですが、そんな読書の話題を今日は約30分お話ししたいと思いますので、みなさんおつきあいをいただければと思います。
視覚障害者の文字=点字というふうに皆さん思われがちだと思いますが、実をいうと視覚障害者の中で点字を使っている人の割合というのはせいぜい一割、10パーセントから12パーセントといわれています。
では、他の視覚障害者はどのように本を読んでいるのか。いちばん多いのが、点字を使える人であっても使っている方法なのですが、録音の図書を聞いているパターン。また、大きな活字「大活字」を読んでいるパターン。あとは、実際に図書館で行っているサービスで、目の見えるボランティアさん、「音訳者」というふうに呼んでおりますけども、本を読んで下さる方と一緒に本を代読していただく「対面朗読サービス」。
そしてOCR。皆さんの中でOCRというと、データをテキスト化するための道具というふうにお考えられがちだと思いますが、視覚障害者にとってはテキスト化しただけではそのままでは使えないのでそれを合成音声で読上げてくれる装置まで発展しています。
視覚障害者で困ることは、こういう文字処理のことが大きいわけです。大きく分けて困ることが3つあるといわれています。
文字を読んだり、書いたり、歩いたり、「文字・書き・移動」というふうにいいますが、人間の外界からの情報の約80パーセントから90パーセントは目を通して得ているというふうにいわれており、視覚障害者は別名「情報障害者」ともいわれています。
その8割なり9割なりの情報、阻害されている情報をどのように得るかということが、今日のテーマにもなり、「読書」ということにもつながってまいります。情報障害を克服するために、例えば周囲の音、におい、そして触る、触覚ですね、体感、この8割の部分をいかに補うかということを考えているというわけです。
一番端的に使われているのが「聴覚」、耳で聞いて感じる感覚です。次に「におい」、「味覚」、これは見えても見えなくてもそれほど変わらないと思いますが。私みたいに食べるのが好きだとこのように太ってしまうということはあると思います。
「触覚」。点字なんかはまさに触覚で感じる文字です。触覚イコール手で触るだけという風に考えられがちですが、どちらかというと体感、体全体を使って、例えば足の裏で道の様子を感じたり、風の流れを感じたり、太陽の暖かさを感じたり、そういったことで体全体を使って。特に頬なんかは風の動き、太陽の暖かさ、そういった皮膚感覚というもので周囲の様子を感じたり、また額にも新たな、額に三つ目がとおるの写楽くんみたいに目があるわけじゃないんですが、バランス感覚とか気配とか様子とかそういった意味で感じる働きをするといわれています
続きはこちら:http://www.voyager.co.jp/sokuho/img_tibf_report/tibf09_matsui.html
TIBF2009 大谷和利氏講演録
2009年7月10日 金曜日テクノロジーライターの大谷和利です。早速プレゼンテーションを始めていきたいとおもいます。
ここにLIFEという字が出ております。人生ということですね。むかし僕が「地獄の黙示録」という映画を見たときに非常に面白い言葉があったのです。それは何かというと、「人生の中に何かが隠されている。それは、もしもという言葉である」というフレーズでした。まさに人生というのはもしも何があったら、その連続だとおもいます。
それと同じようにiPhoneというのは、電話であってインターネットデバイスですが、これを見つめていたときにiPhoneというのは「i(アイ)」「hon(本)」、自分の本ではないかとおもいつきました。実際に今日のテーマとしてはそのiPhoneが、「i(アイ)」「hon(本)」になっていくというようなお話をしたいとおもいます。まさに電子書籍のパラダイムシフトということがいえるでしょう。
私はテクノロジーライターが本業ですが、原宿でデザイングッズを扱うセレクトショップ「アシストオン」の経営に参加しています。それから、Macintoshその他マルチOSの開発環境をサポートするプログラマーをサポートしていくNPO団体“MOSA”(Multi OS Software Association)の副会長もしております。今日はまさにボイジャーさんのために電子書籍が今後どうなっていくのかというようなお話をしたいとおもいます。
ちょうど今日、たまたま僕の新刊『ジョブス流仕事術』の発表というものがありました。昨年「iPod を作った男」「iPhoneを作った会社」という本がアスキー新書から出まして、これをさっそく萩野さんの方からお話があって電子化したけれど、出せなかったという経緯があります。その点については後ほどお話しします。
今日発売のものは第3の新書ということで『ジョブス流仕事術』といいます。今日はビジネスデーということで業界の方が多いでしょうが、今回の新書はですね、キャッチコピーが「意外と真似できる」になってます。
実は2冊目の本は、編集部の方でつけましたけども、キャッチコピーが「真似したら絶対につぶれる」になっていたんです。「真似したら絶対つぶれる」というのが2冊目だったのに、3冊目になったら「意外と真似できる」と。このあたりは編集部の非常にマーケティング意図が出ているとおもうんですが、順番が逆でなくてよかったかなと。真似できるとおもって買ったら、次で絶対つぶれるといわれたら困ります、順番が逆で助かったというようなお話です。
続きはこちら:http://www.voyager.co.jp/sokuho/img_tibf_report/tibf09_ootani.html
TIBF2009 ボブ・スタイン講演録
2009年7月9日 木曜日― イントロ 萩野正昭(ボイジャー) ―
米国ボイジャーは1984年にアメリカの西海岸のサンタモニカに生まれました。
レーザーディスク事業に携わっていました。ちょうどその時、私たちも、パイオニアでレーザーディスク事業に携わっていました。彼とはレーザーディスクを通じて、インタラクティブなソフト開発をともに推進する仲間として知り合ったのです。そして、やがて私たちは彼と新しい会社ボイジャー・ジャパンを1992年につくりました。
お互いに禿頭で、顔も何となく似通っていて、年齢も1946年生まれで一緒なんです。知り合ってかれこれ30年になります。外国人でありながら、こんなに仲良くなったというのも不思議なものだなとおもいます。ともにいろいろな困難を乗越えてきた、その絆なのでしょう。
それでは今から、ボブ・スタインに話をしていただこうとおもいます。
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お集まりいただきありがとうございます。
私自身今年も世界のいくつかのブックフェアに参加してきていますけれど、今回のこの東京国際ブックフェア程、将来の出版事業を垣間見るようなところはありません。どこの国のブックフェアに行ってもいまだに紙の本が列んでいるというのに対して、これだけデジタル・デバイスあるいはその周辺にあること、そして電子書籍ということについて展示されているブックフェアはここ以外にはないからです。
先ほど同志である萩野から紹介いただいたように、私たちはもうすでに30年程一緒に仕事をやってきています。その中で、本というものが一体どういう意味を持ってきたのかということについてお話したいとおもいます。
今お見せしている左の写真は、1950年代に、初期の天文学について書かれたものです。この本は、コペルニクスについて、太陽を惑星が周回しているという地動説について語られたものです。そして、誰も読んだことのないということについて触れているのです。それから随分時間が経って、ハーバードの教授がこの誰も読まれなかった本について書いています(写真右)。ダブリンのトリニティカレッジで素晴らしい本を見つけたのです。(*注:トリニティカレッジ(ダブリン大学)=アイルランド最古の大学。400年以上の歴史と伝統を誇る)
見つけた本というのは、先ほどの初期の天文学に関する初版でした。右側の方を見てわかるように、印刷されたものと、左側の半分は、注釈というか手書きのノートが記されていました。誰も読んだことがないというタイトルからもわかるように、これだけ余白に書込みがなされていたということです。
それから20年間、この教授はコペルニクスの地動説についての本を求めて、初版、二刷りというように、それらを見ることを追求してきた次第です。実際に200冊ぐらい見つけたということです。どの本に関しても、びっくりするぐらいの長い注釈あるいは書込みが記載されているということを発見しました。
大体のケースは、一人だけでなくて、何人かの人たちが前に書いた人に対して反応しています。例えば教授の見解、それに対する学生の反応、そういった書込みがされていたということです。
お話してきたことは、正に今日これからのテーマである、本とは何であろうか?ということにつながるわけです。
続きはこちら:http://www.voyager.co.jp/sokuho/img_tibf_report/tibf09_bobstn.html
