二十一世紀戯曲文庫
鼬(いたち)
著者: 眞船 豊
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,260円(税込) 95ページ
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地方の村の欲にまみれた家の確執を、赤裸々な人間の姿を通してリアルに描く。
昭和初期の東北地方、以前は村の大地主だった「だるま屋」だが、老いた母おかじを残して、息子の萬三郎は大金を稼ごうと南洋へ渡り、三年間、音沙汰もない。かさんだ借金のカタに、金貸しや女地主、村役場の馬医者などが、ボロ畳や破れ障子まで剥ぎ取っていき、家屋敷が人手に渡るのも時間の問題だ。そこへ、十年前に相続争いで警察沙汰まで引き起こし、村を追い出された女、おとりが現れる。おかじが「泥棒鼬」と呼んで忌み嫌う義理の妹だ。おとりは工場を持つ資産家となり、彼女を馬鹿にしていた村の者も、態度を変え始める。おとりは、萬三郎の帰還の情報をおかじに告げ、おかじは息子に望みを託すが、おとりの巧妙な駆け引きに、人々は翻弄され、家を巡る確執は深まっていく…。

著者紹介

眞船 豊(まふね ゆたか)1902年、福島県生まれ。劇作家。早稲田大学在学中、「早稲田文学」に発表した『寒鴨』『村はずれ』が秋田雨雀に激賞される。四国で農民運動に参加した後、1934年「劇文学」に『鼬』を発表。その後、『裸の町』『遁走譜』『中橋公館』『たつのおとしご』などの戯曲を書き、ラジオドラマ、小説、児童文学も手がけた。1977年逝去。

暴力団記
著者: 村山 知義
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 110ページ
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軍閥をバックにした暴力団員と労働組合員の、謀略と闘争の群像ドラマ。
1923年に中国の京漢鉄道の労働者の組合結成に対し、軍閥が警察や暴力団などを使って弾圧し、それにゼネストなどで対抗した組合の指導者が虐殺された中国革命運動史上、有名な「二・七惨案」に材を取った作品。様々な登場人物を生き生きとした台詞術で描き、久保栄や蔵原惟人が「現代日本のプロレタリア戯曲の最高」と激賞し、群衆劇としての面白さ、臨場感も高く評価された。

著者紹介

村山知義(むらやま ともよし)1901年、東京市神田区末広町の生まれ。劇作家、演出家、舞台装置家、小説家、画家、デザイナー。東京帝国大学哲学科を中退、ベルリンへ行き、表現派、構成派の美術、演劇、舞踊に魅せられる。1923年、帰国後、前衛美術団体マヴォを結成。築地小劇場公演の舞台装置制作から演劇活動を始め、25年、河原崎長十郎らと心座を創立。26年に佐野碩、千田是也らと前衛座を結成。『スカートをはいたネロ』『志村夏江』などの劇作や、数多くの演出を手がける。戦後は、新協劇団を再建後、中央芸術劇場をつくる。59年両劇団を統合した東京芸術座が誕生し、村山はその代表者となる。52〜53年戯曲『死んだ海』3部作を書き、71年に『村山知義戯曲集』上、下を刊行。1974年、演出400回を記録し、演劇界への貢献に対し、テアトロ演劇賞受賞。

夜の笑い
著者: 飯沢 匡
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 126ページ
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1978年、青年劇場で初演、第13回紀伊國屋演劇賞・団体賞、 第13回東京労演賞、第20回毎日芸術祭賞を受賞し、1980年にはフィレンツェ国際演劇祭に招待された喜劇の傑作。
第一部「春の軍隊」は、小松左京のSFに材を取ったもの。中流サラリーマンのマイホームに、突然、外国の軍隊が侵入し、家の中が戦場になる。第二部「接触」は島尾敏雄の小説に材を取ったもの。明治19年、熊本の尋常高等小学校を舞台に、授業中に餡パンを食べた5人の生徒たちが、校則違反として、四角四面の女子副校長に死罪を言い渡される。漱石の「坊ちゃん」の先生群が滑稽に絡み、生徒の一人の許嫁の活躍で、悲劇的状況が喜劇的に進行する。

著者紹介

飯沢 匡(いいざわ ただす)1909年、和歌山市生まれ。劇作家、演出家、小説家。本名は伊沢紀(いざわただす)。文化学院美術科卒業後、東京朝日新聞社入社。在学中から長岡輝子・森雅之・金杉惇郎らのテアトル・コメディに参加、32年に『藤原閣下の燕尾服』で劇作家デビュー。43年『再会』でNHKラジオ賞。戦後『婦人朝日』『アサヒグラフ』編集長を務める。54年退社。55年、文学座初演の『二号』で第一回岸田演劇賞、67年『五人のモヨノ』で読売文学賞戯曲賞、69年『みんなのカーリ』で斎田喬戯曲賞、70年『もう一人のヒト』で小野宮吉戯曲平和賞、72年『沈氏の日本夫人』『騒がしい子守唄』で紀伊国屋演劇賞受賞。83年日本芸術院会員。『ヤン坊ニン坊トン坊』などNHKの子供番組の脚本でも知られる。1994年逝去。

アウトダフェ/クリプトグラフ
著者: 松田正隆
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,260円(税込) 87ページ
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読み取りにくい過去や記憶を、独特の演劇的な言葉と手つきで示し、その舞台成果が高く評価された、作者の現在進行形の挑戦。併録の『クリプトグラフ』はエジプトのカイロ、中国の北京と上海、インドのデリーとラクナウでも上演され好評を博した。
『アウトダフェ』/アウトダフェとは、火あぶりの刑のこと。オデュッセウスAが戻った故郷は、天皇の勅命による発掘調査と歴史編纂事業のさなかにあった。それは人々の記憶の集積なのか、記録の切れ端なのか?黒こげになった、或いは文字化けした言葉から立ち現れるのは、宗教による業火なのか、原爆の、アウシュヴィッツの、チェルノブイリの、人類を焼く炎なのか?
『クリプトグラフ』/クリプトグラフとは、暗号受信機のこと。測量士としての俳優が、都市の遺物が発する暗号のような文字を音声化し、かつてどこかにあった都市の報告をする。血液都市、車窓都市、分娩都市、亡霊都市/原爆都市、天使都市/郷愁都市、戦争都市、声紋都市と風紋砂漠、写真都市、そして、秘密(クリプト)都市。
記憶や語られなかった過去を解きほぐそうとする松田正隆の最新作2編を収録。

著者紹介

松田正隆(まつだ まさたか)1962年、長崎県生まれ。立命館大学文学部卒。京都市在住。90年〜97年まで劇団「時空劇場」代表を務め、劇作・演出を手がける。94年『坂の上の家』で第一回OMS戯曲賞大賞受賞。96年『海と日傘』で岸田戯曲賞を受賞。97年『月の岬』で読売演劇大賞作品賞受賞。98年『夏の砂の上』で読売文学賞受賞。2000年には京都府文化奨励賞を受賞。劇団解散後、フリーの劇作家として、青年団、文学座、演劇集団円などに作品を書き下ろしている。舞台戯曲の他、黒木和雄監督作品『美しい夏キリシマ』にて映画脚本を手がけ、『紙屋悦子の青春』は原作として映画化されている。2003年「マレビトの会」を結成し、劇作及び演出活動を開始。マレビトの会の主な作品に『島式振動器官』、『パライゾノート』、『アウトダフェ』、『クリプトグラフ』などがある。現在、京都造形芸術大学 舞台芸術学科客員教授。

マッチ売りの少女/赤い鳥の居る風景
著者: 別役 実
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,785円(税込) 165ページ
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この二作で岸田戯曲賞を受賞した作者の初期戯曲の傑作、かつ、戦後演劇作品の金字塔。
『マッチ売りの少女』/初老の夫婦の夜ごとのお茶会に、市役所から一人の女がやってくる。女は昔、七つの時、マッチを売っていた、マッチを売って、自分のスカートの中を覗かせていたと話し出す。そして、それを教えたのは、あなたではないか、あなた達は私の両親なのではないかと言う。女は、外に待たせていた弟も家に入れ、「善良で模範的で無害な」夫婦は、二人を拒むことも受け入れることも出来ず、戦後の混乱と混沌が、闇の中、白々とした朝の中、浮かび上がる。
『赤い鳥の居る風景』/自殺した両親とその死因を探る委員会。残された盲の女と弟は、両親が旅行者から借りていた借金を返すことになる。親類や町の人々は奇妙な優しさで女と弟を取り巻くが、静かな生活は、奇妙に歪み、壊れていく。

著者紹介

別役 実(べつやく みのる)1937年、旧満州に生まれる。早稲田大学政経学部では、学生劇団「自由舞台」に参加。カフカ、ベケットらの影響を受け、62年被爆者の姿を不条理劇風に描いた戯曲「象」で注目を集める。大学中退後、東京土建一般労組に勤務するかたわら戯曲執筆。66年 鈴木忠志らと劇団早稲田小劇場を結成、67年「マッチ売りの少女」と「赤い鳥の居る風景」で第13回岸田戯曲賞を受賞。68年、労組を退職。70年「不思議の国のアリス」「街と飛行船」他の脚本で紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。72年 山崎正和・末木利文らと「手の会」を結成。84年「不思議の国のアリスの帽子屋さんのお茶の会」で児童福祉文学賞、斎田喬賞、東京都優秀児童演劇選定優秀賞を受賞。87年「ジョバンニの父への旅」「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」で芸術選奨文部大臣賞、読売文学賞受賞。97年、兵庫県文化賞、98年には毎日芸術賞特別賞を受賞。2003年より兵庫県立ピッコロ劇団代表。07年『やってきたゴドー』『犬が西むきゃ尾は東―「にしむくさむらい 」後日譚 ―』で紀伊国屋演劇賞。08年、『やってきたゴドー』で鶴屋南北戯曲賞、同年「不条理劇への貢献」で朝日賞受賞。童話、エッセイ、評論など多彩な著作でも知られる。

赤シャツ
著者: マキノノゾミ
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,785円(税込) 170ページ
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坊っちゃんの出てこない「坊っちゃん」? しかも、主役は、赤シャツ!? 青年座と組んで、紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞した名作。
明治38年、日露戦争の勝利に沸く四国のとある城下町。山嵐、野だいこ、うらなり、マドンナ、狸、赤シャツと、夏目漱石の小説『坊っちゃん』と登場人物は同じだが、主人公は赤シャツ。しかも坊っちゃんは出てこない。坊っちゃんには見えなかった、知られなかった、赤シャツは、誤解に誤解を重ねられた、小心で柔弱で、悩める知識人だったのではないか? 日清、日露と日本が大きく変わっていく時代を、悪役とされた赤シャツこと教頭の、もう一つの姿を通して炙り出す。

著者紹介

マキノノゾミ1959年、静岡県生まれ。同志社大学文学部卒業後、現在の「劇団M.O.P.」を84年の創設より主宰、演出。89年より劇作も始め、劇団外にも作品を提供。94年『MOTHER〜君わらひたまふことなかれ』で芸術選奨文部大臣新人賞、京都市芸術新人賞、同年『青猫物語』『夏のランナー』で大阪府舞台芸術奨励賞、97年『東京原子核クラブ』で読売文学賞、98年『フユヒコ』で読売演劇大賞優秀作品賞、2000年『高き彼物』で鶴屋南北戯曲賞、01年『赤シャツ』『黒いハンカチーフ』で紀伊国屋演劇賞個人賞、同年『怒濤』で読売演劇賞優秀演出家賞と作品賞、08年『殿様と私』で読売演劇大賞優秀作品賞受賞。他の劇団・劇作家の作品の演出も多数行ない、NHK連続テレビ小説「まんてん」など、テレビドラマの脚本も手掛ける。

約三十の嘘
著者: 土田英生
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,785円(税込) 189ページ
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長距離列車の個室の中で、詐欺師が詐欺師を騙す密室劇。映画化もされたオリジナル戯曲版。
北海道に向かう特別列車の個室に、四人の男と一人の女、合計五人の詐欺師がいる。その内の四人は、昔、共に仕事をしていた仲間で、ある事件をきっかけにバラバラになっていたが、五年ぶりに集まって、チームで仕事をする計画だ。ところが、そこに、かつて彼らを裏切って金を奪い逃げた女が現れ、仲間に戻りたいと言う。自分はお金は取っていない、別の男が取って逃げた、と言う女の説明を信じるもの、信じないもの、様々だが、女と共に仕事をすることになる。仕事が成功して大金を手にした六人だが、帰りの列車の中で、その大金が消えてしまう。誰が金を奪ったのか、誰と誰がグルなのか、誰が嘘をついているのか? 列車の密室の中で、それぞれの思惑が錯綜する。同題で、映画化もされた作品で、2001年の再演改訂版。

著者紹介

土田英生(つちだ ひでお)1967年、愛知県生まれ。立命館大学入学と同時に演劇活動を始め、89年にB級プラクティス(現:MONO)を結成。京都を拠点に活動し、劇作、演出、俳優としても活躍。99年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞。2000年、咲くやこの花賞、大阪府舞台芸術奨励賞、京都市芸術新人賞受賞。01年、文学座に書き下ろした『崩れた石垣、のぼる鮭たち』で第56回芸術祭賞優秀賞。03年、京都府文化賞奨励賞受賞。同年より文化庁新進芸術家研修制度で一年間ロンドンへ留学。テレビドラマ、ラジオ、映画脚本の執筆も多数行う。

美しきものの伝説
著者: 宮本 研
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,785円(税込) 165ページ
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伊藤野枝、平塚らいてう、島村抱月、松井須磨子、小山内薫、一時代を駆け抜けその名を後に残した人々が、リアルな、希有でしかし普通に懸命に生きた人間として描かれる。幕切れ近くクロポトキンこと大杉栄が言う「ベル・エポック。この大正という時代、のちになったら、みんながそういうだろうね。…のどかな…じれったいほどのどかな、美しい、いい時代だったとね。…つらい。…何が、よき時代なものか」という台詞が哀切だ。

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宮本 研(みやもと けん)1926年、熊本県生まれ。父が北京総領事館に勤務し、一家で移り住む。北京日本中学を卒業し、44年、帰国。戦中は勤労動員。戦後、九州帝大法文学部経済科に入学し、演劇部に所属。大分商業高校(現・大分第二高校)で教鞭をとり、演劇部を設立して指導、1年余りで辞職。52年法務省に入り、10年間、勤務。自立劇団「麦の会」を結成し、57年、サークル劇団「麦の会」のために「僕等が歌をうたうとき」を執筆。労働者自身による自立劇団の再建の担い手となった。ブレヒトの演劇論に共鳴し、戦後占領下の二・一スト事件と労働組合運動の実態を描いた「日本人民共和国」、および「メカニズム作戦」の二作で岸田戯曲賞を受賞。また「明治の柩」で芸術祭奨励賞脚本賞を受賞。88年逝去。

オッペケペ
著者: 福田善之
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,785円(税込) 190ページ
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緋の陣羽織で、自由民権を時の権力風刺と共にうたって一世を風靡した「オッペケペ節」。実録ものではなく、川上音二郎や貞奴、中江兆民といった人物を想起させるが、作者のオリジナルな人物像で、自由、民権といった志で始まった壮士劇が、権力にとりまかれ、戦争高揚劇へと至る流れを、様々な役者や政治家の思惑、男女の関係なども織り込みながら、多重的な群像劇として描く。

著者紹介

福田善之(ふくだよしゆき)1931年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。新聞記者、演出助手を経て、劇団青芸を結成。併行して戯曲を発表。『長い墓標の列』『遠くまで行くんだ』『真田風雲録』『オッペケペ』『袴垂れはどこだ』などの秀作を発表し、60年代演劇の旗手として注目される。その後は新劇にとどまらず、商業演劇、ミュージカル(『ピーターパン』)などの劇作・演出家として幅広く活躍。ほかに映画シナリオやテレビ・ラジオドラマの執筆も多数。1994年『壁の中の妖精』ほかで、紀伊國屋演劇賞・個人賞を、『私の下町−母の写真』で読売文学賞を受賞。1999年『壁の中の妖精』の演出で読売演劇賞優秀演出家賞を受賞。2000年『壁の中の妖精』の戯曲で斉田喬戯曲賞を受賞。現在、日本演出者協会理事長。

オールドリフレイン
著者: 渡辺えり子
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 135ページ
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屋根裏部屋で、一人の老女が死に誘われている。彼女は「恋」を待ちながら人々に忘れ去られた作家である。トランクを抱えた男と家出した大阪少年がやってくる。男はそのトランクに若き日の叶えられなかった「恋」を閉じ込めていた。そのトランクが開けられたことから老女の物語が息を吹き返す。時は大正。苔の花粉の降る夜、それが人体に及ぼす影響の研究に失恋の痛みから没頭する二助、物言わぬ患者に心奪われてしまった医者・一助、二人の妹・町子。彼らは町子の夢の中へと巻き込まれ、舞台はルーマニアヘ……。

著者紹介

渡辺えり子(わたなべえりこ)山形県出身。舞台芸術学院、青俳演出部を経て、1978年に『劇団3○○(さんじゅうまる)』を結成。1998年の解散まで、主宰・劇作家・演出家・女優の4役をつとめる。1983年「ゲゲゲのげ-逢魔が時に揺れるブランコ」で岸田戯曲賞受賞。1987年「瞼の女-まだ見ぬ海からの手紙」の作・演出で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。舞台にとどまらず、映画やテレビ、作家としても個性を発揮。2004年には中村勘三郎の勘九郎として最後の歌舞伎「今昔(いまはむかし)桃太郎」の作・演出を手掛け大きな話題となった。2001年、「ユニット宇宙堂」を旗揚げ。新人の育成のため、2003年より劇団に改めた。

カズオ
著者: 永井愛
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 136ページ
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二つの家庭に起きた事件を登場人物全て女優二人だけで演じ分け、話題になった舞台。頭の薄くなった銀行マンの父親を演じたかと思うと、不倫に悩むその妻になり、ませた小学生を演じたかと思うと、嫁のすることに目を光らせる嫌みな祖母になる。着替えの回数、50数回!預金獲得に奔走する父親たちや、不倫やアルコールや宗教に走る母親たち。それをクールに眺めながらも巻き込まれる子供たち。登場人物の右往左往に笑いながらも、観客には見えない存在として描かれる「カズオ」の姿に、ふと、怖くなる瞬間がある。

著者紹介

永井愛(ながいあい)1951年、東京生まれ。1981年、大石静と共に劇団二兎社を設立。1991年、大石退団後は二兎社代表。
劇作家、演出家として自作のプロデュース公演を続けている。
96年「僕の東京日記」で紀伊國屋演劇賞個人賞受賞、97年「ら抜きの殺意」で鶴屋南北戯曲賞、同作と「見よ、飛行機の高く飛べるを」で芸術選奨文部大臣新人賞受賞、99年「兄帰る」で岸田國士戯曲賞受賞、2000年「萩家の三姉妹」で読売文学賞(シナリオ戯曲賞)と読売演劇大賞優秀演出家賞受賞、01年「こんにちは、母さん」と「日暮町風土記」で朝日舞台芸術賞秋元松代賞受賞、05年「歌わせたい男たち」で読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。

マリアの首 ‐幻に長崎を想う曲‐
著者: 田中千禾夫
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 132ページ
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原爆によってケロイドになった長崎浦上天主堂のマリア像が何者かによって、バラバラに盗まれている。戦争や被爆の体験を忘れようとする人々と、その爪痕を残し、記憶を風化させまいとする人々がいる。看護婦であり、夜の女にもなる美しい女・鹿。恨みのある男を探す美しいとはいえない女・忍。この二人とそれを取り巻く男たちや女たちの、様々な思いが時に詩的に、時に哲学的に語られる。また長崎弁のニュアンスと、挿入される劇中歌(芥川也寸志作曲)がドラマチックである。

著者紹介

田中千禾夫(たなかちかお)1905年、長崎市生まれ。劇作、演出家。岸田國士、岩田豊雄らの指導を受け、1932年、第一次「劇作」同人となり、処女作の「おふくろ」(築地座上演)が出世作となる。「教育」ほかで読売文学賞、他、受賞作多数。戦後の主要作品に「雲の涯」「肥前風土記」「千鳥」「右往左往」などがある。1995年逝去。

裸でスキップ
著者: 鈴木聡
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 135ページ
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舞台は松崎木工家具の談話室。家具デザイナーの佳代子と平凡を絵に描いたような区役所勤めの修司のちょっと情けない出会いから始まり、不況に悩みながらもなんだか馬鹿話に花が咲く、家具職人や工場の人々、経理のおばちゃんなどが登場する。大人ゆえの悩みなのか、大人じゃないゆえの悩みなのか、人々の情けなくも愛らしい姿に笑って泣ける、大人のための傑作コメディー。

著者紹介

鈴木聡(すずきさとし)1959年、東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、博報堂に入社。コピーライター、クリエイティブディレクターとして活躍。84年、劇団サラリーマン新劇喇叺屋(現ラッパ屋)を結成。主宰、脚本、演出を担当。「阿国」「新橋ラプソディ」「謎の下宿人」など、ミュージカル、商業演劇の脚本も多数。97年に退社し、「あすか」「夢みる葡萄」(以上、NHK)、「ツーハンマン」(テレビ朝日)などのテレビドラマの執筆も。

宇宙の旅、セミが鳴いて
著者: 鈴江俊郎
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 148ページ
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近未来、宇宙船の中。任務を終えて地球に帰還する途中、母国日本ではクーデターが勃発する。共産主義政権ができたというのだ。帰る? 帰らない? 帰れない? 混乱するクルーたち。共産主義政権が資本主義の申し子のようなこのエリート集団を受け入れてくれるか、議論が始まる。閉塞された空間での人間関係のもつれは一気にそこで爆発するようだ。極限の状況の中でクルーたちは、初めて生と死の意味、自分たちの生の意義を見つめなおし、何かを見つけることになる。

著者紹介

鈴江俊郎(すずえとしろう)1963年、大阪市生まれ。1989年「区切られた四角い直球」で第4回テアトロ・イン・キャビン戯曲賞、1995年「零れる果実」で第2回シアターコクーン戯曲賞、「ともだちが来た」で第2回OMS戯曲賞、「髪をかきあげる」で第40回岸田國士戯曲賞受賞など。1993年より京都で劇団八時半を主宰、劇作家・演出家・俳優として活躍。1996年より京都舞台芸術協会を事務局長として旗揚げ、現在理事長。戯曲は英語、ドイツ語、ロシア語に翻訳され海外にも紹介されている。著書に「髪をかきあげる」「靴のかかとの月」など

絶対零度
著者: 鐘下辰男
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,470円(税込) 110ページ
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藤井誠二著「暴力の学校 倒錯の街」という福岡の高校で実際に起きた、教師の体罰によって女子高生が死んだ事件のルポルタージュを参考文献にしているが、独居房と家を舞台に、閉塞した三人の男女の関係を描く。自分の娘を殺し、死刑を求刑されている教師・宮田のところに面会に行く母・恵子。夫との関係もねじれ始め、論理で自分の正当性を主張する宮田に、恵子は何度も対峙する。教育とは何か、システムとは何か、理性と狂気の錯綜する中、それぞれの関係が変わり始める

著者紹介

鐘下辰男(かねしたたつお)1964年、北海道生まれ。劇団青年座研究所を経て、1987年 演劇企画集団THE・ガジラ創立。1992年 「tatsuya−最愛なる者の側へ」などで、文化庁芸術選奨文部大臣賞新人賞受賞、1997年 「PW-PRISONER OF WAR」「寒花」で、第32回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞、 「PW-PRISONEROF WAR」「温室の前」「仮釈放」「どん底」で第5回読売演劇大賞・大賞 最優秀演出家賞受賞。著書に「カストリ・エレジー」、「アーバンクロウ―呼吸もできない」、「カデット」など。

修学旅行
著者: 畑澤聖悟
発行: 日本劇作家協会
価格: 1,260円(税込) 99ページ
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青森の男女共学の高校生が、沖縄へ修学旅行に行く。平和学習のために、ひめゆり部隊の話なども聞くが、話題は、それ以外の様々なこと(部活のこと、先生のこと、テレビのこと、好きな子と仲良くなるための相談等々)に。ちょっとした事件もありつつ、リアルで勢いのある会話が進み、修学旅行の夜は更けていく。

著者紹介

畑澤聖悟(はたさわせいご)1964年、秋田県生まれ。劇作家・演出家。弘前劇場を経て05年、演劇プロデュースユニット「渡辺源四郎商店」設立。98年『為信のクリスマス』でギャラクシー大賞ラジオ部門最優秀賞、2000年『シュウさんと修ちゃんと風の列車』で文化庁芸術祭大賞を受賞。05年『俺の屍を越えていけ』で日本劇作家大会短編戯曲コンクール最優秀賞を受賞。現在、青森県立青森中央高校美術教諭でもあり演劇部顧問。自らの作・演出で各種高校演劇コンクールに出場している。全国大会では99年『生徒総会』で優秀賞・文化庁官賞、05年『修学旅行』で最優秀賞・文部科学大臣奨励賞を受賞。

宮城野
著者: 矢代静一
発行: 日本劇作家協会
価格: 945円(税込) 33ページ
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江戸天保年間の麻布の色街を舞台に、女郎・宮城野と、なじみ客の偽絵師・矢太郎が交わす会話が予断を許さない方向へと進んでゆく。矢太郎は師の写楽を殺してきたらしく、宮城野はそれを察している。二人の交わす会話は嘘とほんとが混じり合い、矢太郎と惚れ合っているらしい写楽の孫娘との関係も混じり、男女の言葉は縺れ合い、物語は二転三転、表情を変えていく。

著者紹介

矢代静一(やしろせいいち)1927年、銀座に生まれ、俳優座に入り「父帰る」に主演。後、製作者へ転向。早くから、カトリック精神に裏打ちされた作品を数多く発表した。1955年「壁画」で第一回岸田國士戯曲賞、1972年「写楽考」で読売文学賞。1978年芸術選奨文部大臣賞など受賞歴多数。1998年逝去。

喜劇 ほらんばか
著者: 秋浜悟史
発行: 日本劇作家協会
価格: 945円(税込) 28ページ
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東北地方のある寒村。春になるとほらんばか(ほら事語り)になってしまう工藤充年(くどうじゅうねん)が廃屋となった牛舎の前で、白樺の木の間をわきめもふらず、往復している。工藤は、昔、仲間と集団農場を経営していて、不在の間に牛をすべて伝染病で死なせてしまったことで、ほらんばかになってしまった。野間さち、なちの姉妹が、今年の春もほらんばかになっているのか確かめにやって来る。工藤とさちは愛し合っているが、工藤がほらんばかのために結婚できない関係。東北弁で繰り広げられるユーモラスで、はかなくもせつない物語。

著者紹介

秋浜悟史(あきはまさとし)1934年、岩手県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所を経て、1962年に劇団三十人会代表となる。1967年「ほらんばか」の作・演出で、第1回紀伊國屋演劇賞受賞。1969年「幼児たちの後の祭り」で第14回岸田戯曲賞受賞。元大阪芸術大学大学院教授。前宝塚北高等学校演劇科長。前ピッコロ劇団代表。前ピッコロ演劇学校参与。2005年逝去。